[相談]
私は会社で給与計算を担当しています。
このたび、中途採用で社員1名が入社することになりました。
その社員は、@所得税法上の「ひとり親」に該当し、Aその社員の所得税法上の扶養親族は同居している子(成人)1名ですが、その子は、B所得税法上の障害者(特別障害者以外の障害者)に該当しています。
また、その扶養親族である子は、C就労継続支援A型事業所に勤務しており、給与年収は100万円程度です。
そこでお聞きしたいのですが、その社員に係る毎月の給与計算上、給与所得からの所得税の源泉徴収(税額表は甲欄)における「扶養親族等の数」は何人になるのでしょうか。
また、今年(令和6年)に実施される所得税の定額減税において、その子はその社員の所得税の定額減税の対象となる扶養親族には含まれるのでしょうか。教えてください。
[回答]
ご相談の場合、その社員に係る毎月の給与計算上、給与所得からの所得税の源泉徴収における「扶養親族等の数」は「3人」となります。
また、所得税の定額減税における扶養親族には含まれるものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
所得税法上、給与所得の源泉徴収税額表(月額表:甲欄)における「扶養親族等」とは、源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族をいい、「扶養親族等の数」とは、源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族(老人扶養親族又は特定扶養親族を含みます)との合計数をいうと定められています。
また、給与所得者の扶養控除等申告書の提出した居住者(税額表の甲欄対象者)で、その申告書にその人(本人)が障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生に該当する旨の記載があるものである場合には、これらの一に該当するごとに控除対象扶養親族が1人あると記載されているものとし、その申告書に同一生計配偶者又は扶養親族のうちに障害者又は同居特別障害者がある旨の記載がある場合には、原則として、これらの一に該当するごとに控除対象扶養親族が他に1人あると記載されているものとして、給与計算における扶養親族等の数を計算することと定められています。
したがって、今回のご相談の場合、その社員が所得税法上の「ひとり親」に該当し、また、扶養親族である子については所得税法上の障害者に該当していることから、その社員に係る毎月の給与計算上、給与所得からの所得税の源泉徴収(税額表は甲欄)における「扶養親族等の数」は「3人」となります。
令和6年分所得税について実施される定額減税では、本人だけでなく、同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に限ります)についても、1人につき30,000円の所得税の定額減税を行うこととされています。
上記の定額減税における「扶養親族」とは、原則として、令和6年12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人をいうこととされています。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が48万円(所得が給与所得のみの場合には、給与年収103万円)以下であること。
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
したがって、今回のご相談の場合は、上記4つの要件のすべてを満たしていると考えられることから、所得税の定額減税における扶養親族に該当することとなります。
[参考]
所法2、79、185、187、別表第二、所令10、国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A」(令和6年3月18日)など
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